無資格学芸員かく語りき byドクターアルカイック
無資格学芸員(?)がお届けするユニークで知的な美術コラム
これであなたも学芸員or美術評論家!?
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美術館は巨大な貸画廊か? 第1号− 2008年1月号 −
美術館の入場料のからくりを知っている人は、意外に少ない。
1点1点が高額な印象派の展覧会などは、作品そのものが高いのだから、入場料も高くてあたりまえで、 知名度の低い作家の展覧会や地元作家の展覧会は、入場料も安いことは想像できる。
だが、もう一歩踏み込むと、日本の美術館の本質的な問題に突き当たる。
入場料が千数百円もする展覧会がよくある。テレビや新聞で大々的に広告がなされ、新聞社やテレビ局が、美術館に並んで主催者に名前を連ねている。 一方、同じ美術館が、その年度に新たに収集した作品展などは、数百円の入場料で観ることができる。入場料の差は、スポンサーの有無に関係している。
実は、その美術館が単独で行う展覧会の入場料が、美術館の収入としての元来の入場料なのだ。
いくら入場料の高い展覧会をしても、美術館には、元来の入場料しか入ってこない。 その差額は、基本的に、スポンサーが全額持って行く。当然のことながら、展覧会には、相当な経費が必要で、例えば、海外の美術館から、名作とされる作品を借りるには、保険金だけでも億単位になるものもある。輸送コストもこちらの負担だから、スポンサーとしては、経費を全部入場料に転嫁する。だから入場料が高くなるというわけだ。 そして、新聞社やテレビ局は、コストを回収するために、自らのメディアで、展覧会を書きたて、大いに宣伝する。 赤字に終わるのを避けるためだ。画廊などに回ってくる前売り券も、美術館からではなくて、スポンサー側から依頼されて回ってくる。 美術館は、ほうっておいても、メディアがどんどん宣伝してくれるから、あぐらをかいておれる。 元来の入場料に観客者数をかけた金額が、黙っていても転がり込んでくるからだ。
実は、こういったシステムは、東京にあるエージェント、美術館・博物館協会を通じて、全国ネットで行われている。 そこでは、展覧会の質よりも、どれほどの動員力があるかどうかが、スポンサーの関心事で、美術館がイニシアティブを取れる余地は少ない。
もちろん美術館には、ほかに大事な役割もある。
しかし、巨大な貸画廊のような構図を残したまま、今また、指定管理者制度(※1)を 取り入れることによって、さらに貸画廊路線を突っ走るとすれば、大いに問題が残ると考えるのは、私だけではないはずだ。
※1 指定管理者制度については後日詳しくお話します。







