無資格学芸員かく語りき byドクターアルカイック
無資格学芸員(?)がお届けするユニークで知的な美術コラム
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文化勲章と文化功労賞
第11号− 2008年11月号 −
芸術の秋、今年も恒例の文化勲章と功労賞の受賞者が発表された。
今年の功労賞受賞者の中で、美術分野の人は、工芸家の奥田小由女(さゆめ)(71)、彫刻家の澄川喜一(77)の二人。受賞者には年額350万円の終身年金が支給される。文化勲章の受賞者には、厳密に言うと、年金のような副賞はない。それは日本国憲法に、以下のように明記されているからだ。 「憲法第14条 栄誉、勲章その他の栄典の授与は、いかなる特権も伴わない。」
この条文には、戦前に制定された勲章制度(1932年)の特権を否定する意味がこめられている。言うまでもなく、功労賞よりは文化勲章のほうが格が上。だが憲法上で、年金の支給ができないので、1951年制定の文化功労賞の規定を運用して、今は年金を支給している。もともとは別の制度である勲章と功労賞を整合化し、さらにこの二つを差別化するために、1979年以降は、前年度までに文化功労者として顕彰されたものの中から、文化勲章を授与するように改められた。この経緯は、憲法14条の精神にそぐわないと指摘する向きもある。 俗に、受賞は、日展系と東京芸大系が有利と言われてきた。それには、そう思わせる理由がある。
受賞者の選定は、文化庁文化審議会によって行われる。この文化審議会のメンバーに、東京藝術大学の学長が一席を占めているのだ。
受賞者が作る作品の価格は、受賞をきっかけに、ぐんとはねあがる。受賞がほのめかされるだけでも、思惑買いが先行して、価格があがる。美術業者にとっては、大きなビジネスチャンスでもある。
この制度を嫌って、あるいは、個人的な理由から、受賞を辞退した人もいる。陶芸家の河井寛次郎(1955年)、画家の熊谷守一(1968年)、他には小説家の大江健三郎、女優の杉村春子らも辞退者だ。受賞が印税や出演料に反映されるかどうかは、筆者は知らない。
海外では、フランスのレジオン・ドヌール勲章が有名。ちなみに、前述の大江健三郎は、2002年にこのコマンドール章を受賞している。また、韓国にも文化勲章があって、今年はヨン様(ぺ・ヨンジュン)が受賞した。もちろん日本で「韓流」の大フィーバーを起こしたからだ。
賞と名のつくもの、贈る側も送られる側も、悲喜こもごも。






